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  hiro通信         

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**姉歯の設計、朝日の捏造報道

■1.朝日に姉歯を糾弾する資格があるのか?■

 朝日新聞は、耐震強度を偽装して手抜き工事設計をした姉
歯建築士を次のように厳しく糾弾している。

 住民の安全を犠牲にして金をもうけるような行為は許さ
れることではない。警察は厳しく刑事責任を追及すべきだ。
(昨年12月21日付社説)

 しかし、朝日に、これを言う資格があるのだろうか。建築士
が偽装設計をするのと、新聞社が捏造記事を報道するのは、職
業使命に対する背任行為という点では同じではないか。

 同様に、株価をつり上げるために虚偽の情報を流したライブ
ドア、そして建築確認後に身体障害者用の施設を不法に改築し
ていた東横インへの糾弾も手厳しい。

 日頃、捏造・偏向記事を濫発している朝日新聞には、ライブ
ドアや東横インを糾弾する資格があるのだろうか。

■2.なぜ、朝日にこれほど虚報・誤報が頻発するのか。■

 弊誌401号[a]では「朝日の3ホンダ」を紹介した。日本軍将
校が中国で「百人斬り競争をした」とでっち上げて、将校遺族
から訴えられている本多勝一。沖縄のサンゴ礁を自分で傷つけ
た上で、環境破壊を戒める写真を創作した本田嘉郎。そして昨
年1月にNHKの「慰安婦」番組に安倍晋三・中川昭一が圧力
をかけたと事実無根の報道をした本田雅和。

 他にも中韓の歴史教科書干渉のきっかけを作った教科書検定
誤報事件[b]、秋岡・中国特派員の林彪失脚を隠した報道[c]な
ど、弊誌で紹介しただけでも捏造記事は枚挙にいとまがない。

 なぜ、朝日にばかり、これほど捏造記事が頻発するのか。
その土壌を実体験から明かした本が出た。元朝日新聞記者・烏
賀陽(うがや)弘道氏の『「朝日」ともあろうものが』である。
[1]

■3.デスクの「捏造自慢」■

 烏賀陽氏は昭和61(1986)年に大学を卒業して、朝日新聞に
入社した。初任地は三重県の津支局だった。約2年の間に二人
の「デスク」の下で記事を書いた。デスクとは支局に一人か二
人いて、記者の書いた原稿を読んで、文章や事実関係をチェッ
クする。記者が捏造や偏向記事を書かないよう監督するのもデ
スクの大切な仕事である。烏賀陽氏を監督した二人目のデスク
はこんな人物だった。

 当時40歳すぎのオジサンで、土色の顔に黄色く濁った
ギョロ目が充血していて、いかにも大酒飲みという風貌だっ
た。夜になると、まだ朝刊の入稿も終わっていないのに酒
を飲み始める。酔う。ぐにゃぐにゃになる。すると大声で
自分の「捏造自慢」を始めるのである。

 彼の「自慢の一作」は、「電車の中の珍妙な忘れ物」だっ
た。今でもあるのかどうかわからないが、80年代は旧国
鉄が「忘れ物白書」を発表していたそうだ。彼はそれに自
分で創作した「珍妙な忘れ物」を書き加えていた、と自分
で言うのである。その言葉によると、位牌、遺骨だとかヘ
ビだとか、そういう珍妙な「忘れ物」を記事に入れておく
と、記事の扱いが大きくなるのだそうだ。

 こういう話を、入社1、2年目の若い記者を前に、指導
監督の責任者であるデスクがトクトクと話すのである。
[1,p193]

■4.「いいんですよ、誰にも迷惑かけないんだから」■

「発表した国鉄の人がさあ、次の日の朝刊を見て「こんな
こと、ウソですよね」って真っ青な顔で言うんだよなあ。
ハハハ」

 こちらは絶句。どう返していいのかわからない。
「はぁ」

「でさあ、言ってやったの。『いいんですよ、誰にも迷惑
かけないんだから』って。そしたら国鉄の人『新聞っそん
なものなんですか』って感心してたよ。ハハハ。」[1,p194]

 烏賀陽氏は、これを聞いて悪寒がした。「せしめたワイロの
額を自慢する警察官や、預金の横領を自慢する銀行員」と同じ
ではないか。現在で言えば、偽装設計で儲けた額を自慢する建
築士や、虚偽情報を流してつり上げた株価を自慢する経営者と
いう所だろう。

 このデスクの「捏造」はこの程度ではなかったらしい。

「おれさあ、昔さあ、記事まるごと捏造しちゃってさあ、
バレちゃったんだけどさあ、訂正しようもないくらいデカ
いウソだったから訂正も出なかったよ。ワハハハ」

■5.「『魔の道路』と近所は恐れていた」■

 このデスクは、烏賀陽氏の原稿にも捏造の腕前をふるうこと
になる。昭和61(1988)年4月の事である。伊勢市で、下校途
中の小学1年生二人が車にはねられ、一人が死亡、もう一人が
重傷という事故が起こった。

 烏賀陽氏は現地に行っていたのでは記事の締め切りに間に合
わないのでので、やむなく近所の家に次々と電話して聞き込み
をした。何人かに話を聞くうちに、この道路が通学路なのに歩
道もろくになく、しかもトラックの行き交う、本当に危ない道
だということが分かってきた。これを600字ほどの記事にま
とめ、デスクに提出した。

 その記事が組み上がってファックスで送り返されたのを見た
烏賀陽氏は唖然とした。自分の記事の最後に、デスクが次の一
行を勝手に付け加えていたのである。

 近くの子どもたちや主婦たちはこの道路を「魔の道路」
と呼んでいた。

 そして、本社の整理部がこの一文を使って「『魔の道路』と
近所は恐れていた」という見出しをつけていた。

 烏賀陽氏はデスクが一文を付け加えた理由が飲み込めた。整
理部が見出しをつけやすくし、ニュースの扱いを大きくして貰
うためなのである。

■6.「こう書いて誰かが困るわけじゃないからさっ」■

 烏賀陽氏は自分の書いた原稿に対して、こうも目の前で堂々
とでっち上げをやられて、我慢できなくなった。

「これは一体、何ですか」と、デスクに詰め寄ったが、彼は酒
臭い息を吐きながら、「いいんだよっ、こう書いて誰かが困る
わけじゃないからさっ」

ぼくはデスクに本気で怒鳴った。「いい加減にしろ!」

横の机で仕事をしていた10年ほど上の先輩記者が立ち上
がった。こちらに加勢してくれるのかと思ったら、ちがっ
た。「こら! デスクにそんなふうに怒鳴っちゃいかん!」

「朝日の3ホンダ」の一人、本田嘉郎が、沖縄のサンゴ礁を自
分で傷つけた上で、環境破壊を戒める記事を捏造したのは、こ
の翌年である。この件に関して、烏賀陽氏はこう考える。

 サンゴ事件は「捏造に手を染めたカメラマンがいて、そ
の不正を管理職が見抜けなかった」という「単独犯」の構
図で決着した。懲戒免職されたのはカメラマン一人だった。
が、そのカメラマンも、入社して仕事を始めた当初から、
そんな手口を知っていたわけではあるまい。彼はどこかで
こういう悪事を覚えたのだ。これはぼくの推量だが、ぼく
の上にいた捏造デスクのように「新聞なんて、そんなもん
さ」「バレなきゃいいのさ」「誰にも迷惑かけてないから、
いいのさ」とささやく先輩か上司がいたはずだ。そうでな
ければ、捏造そのものを思いつかない。[1,p199]

■7.捏造記事の名作「百円ラーメン」■

 烏賀陽氏の体験は、朝日の中で特異なものではないようだ。

 これは社会部で働く同僚に聞いた話だが、「こういうコ
メントを取ってこい」と自分で「識者談話」を作文し、記
者に取材させるデスクがいたそうだ。記者が聞いてきた談
話が自分の作文と違うと、談話の方を作文に合わせて強引
に書き換えるという。[1,p199]

 また、朝日の記者仲間で「名作」として知られている捏造記
事があったという。昭和62(1989)年、消費税が導入された頃、
広島県版でその影響を取材した連載があり、その一つとして
「百円ラーメン」という記事が書かれた。広島市内の中華料理屋
で、老夫婦がラーメンを長年百円のまま値上げせずに頑張って
きたが、消費税分を値上げするかどうかで悩んでいるという記
事だった。

 記事が掲載された後、読者から「このラーメン屋に行きたい」
という問い合わせが殺到して、それをきっかけに、まったくの
捏造記事だったことが明らかになった。ご丁寧なことに「ラー
メン 百円」の看板はその記者の「手作り」だったという。

 捏造がバレた後、さすがにその記者は秘密裏に取材現場をは
ずされていたが、やがて復帰して、その後、「『核』取材班」
という肩書きで、核拡散防止について海外取材をして堂々と署
名入りの連載記事を書いていたという。

 その後は名前を紙面で見ない。彼ももうそろそろどこか
でデスクぐらいになっているのかもしれない。[1,p207]

 とすれば、新米記者に自らの捏造の腕前を自慢したり、「こ
ういうコメントを取ってこい」と命じたりして、次世代の「朝
日の3ホンダ」を育てているのかも知れない。

■8.「これを組織的腐敗と呼ばずに何と呼ぶのか」■

 ちなみに、津支局でぼくの上にいた捏造デスクも、その
あと名古屋社会部の編集委員になり、十数年勤めて無事に
定年退職した。記事が出たあと、支局長と社会部長に「あ
の『魔の道』はデスクの捏造です」と報告したのに、何の
処分もなかった。握りつぶされたのである。

 気が狂いそうな話だ。捏造の現行犯なのに、朝日新聞の
編集委員。給料を定年までもらい続けたのだ。・・・バレ
たサンゴ・カメラマンはクビになり、バレなかった捏造デ
スクや百円ラーメン記者は処分なしでは、不公平なのだ。
アンフェアなのだ。バレようがバレまいが、不正は不正と
して処罰しなくてはいけないのだ、不正を処罰せずに隠蔽
すると、その組織内には「あんなことをやっても許される
んだ」という認識が広まり、さらに悪質なモラルハザード
が蔓延する。・・・

 こういう不正を防げないこと、隠蔽することを、組織的
腐敗と呼ばずに何と呼ぶのか。ぼくは自分が志して入った
会社がこういう不正と隠蔽体質を根深く持っているのを現
前で目撃して、虚しさと落胆に打ちのめされた。[1,p208]

 サンゴ・カメラマンや百円ラーメン記者や捏造デスクは、お
そらく朝日新聞の中でもごく一部の人間だろう。しかし、問題
なのは、こういう輩をチェックし、排除する仕組みが朝日新聞
社の中で無いか、あるいはあっても機能していないことなのだ。

「3ホンダ」の一人、本田雅和による「NHK圧力事件」では、
朝日はNHKおよび安倍晋三・中川昭一両氏から訂正・謝罪を
要求されているが、記事の根拠も示せないまま頬被りを続けて
いる。経営陣からしてこういう姿勢では、自浄作用が働くはず
もない。外にバレて、どうにも言い訳ができない時にのみ、ト
カゲの尻尾きりが行われるのである。

 人間の体に例えれば、捏造記者や捏造デスクは無数の正常な
細胞の中に生まれた、一部のガン細胞なのだろう。正常な人体
なら免疫力が働いて、ガン細胞が発生しても退治してくれる。
朝日はその免疫力が働かない状態なのだ。だから、ガン細胞が
次々と増殖して、繰り返し、捏造記事が流されるのである。

■9.たくさんの「気が狂いそうな話」■

 烏賀陽氏は、捏造以外にも一般人から見たら「気が狂いそう
な話」をたくさん紹介している。

・津支局の2階の一室に住むことを強要され、なおかつ留守中
に部屋を点検されて「持ち物が贅沢すぎる」と注意された話
(「人権」感覚の麻痺)。

・米国で国際政治を勉強するために休職を希望したら「教
養を深めるなんてことのために会社は時間をやれないぞ」
「もっとしんどい持ち場にとばしてやるぞ」と脅された話
(国際感覚の欠如)。

・朝日が主催する高校野球の報道には毎年4ヶ月50名もの新
米記者を投入して、「わが社もの」の宣伝のためには紙面を
惜しまないこと(「不変不党の原則」の無視)。

・オウム幹部とのインタビュー記事でその幹部から事前検閲を
受けていた記者の話(「言論の自由」の放棄)

 朝日新聞がいかに左翼的な考え方を持とうと、その報道にお
いて、事実に基づき、不偏不党を貫き、言論の自由を守り、常
識的な人権感覚・国際感覚の上に立っているのであれば、すな
わちジャーナリズムとしての基本を守っているのであれば、構
わないと思う。自由民主主義のルール内で、他誌や読者との議
論や論争が成り立つからだ。

 しかし、実態はそうではないようだ。その左翼的な言辞が、
ジャーナリズムの基本を踏み外した所から出ているのであれば、
人民日報と同様のプロパガンダ紙に過ぎない。

 朝日新聞は東横インを次のように厳しく糾弾した。

 東横インの違法な改築は、法律や条例を守っている多く
の企業を裏切る行為だ。社会への重大な背信でもある。
(1月28日付社説)

 これを以下のように修正して、朝日新聞にお返ししたい。

 朝日新聞の捏造記事の濫発は、事実に基づく不偏不党の
報道というジャーナリズムの基本を守っている多くの報道
機関を裏切る行為だ。社会への重大な背信でもある。
(文責:伊勢雅臣)



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